コケイン症候群の診断基準

コケイン症候群(CS)の症状は全身にわたる。1977年、Sugarmanらは、major and minor criteriaに分類した診断基準(下表)を提唱した(Clin Pediatr 1977;16:225-32)。


大症状小症状
低身長(小人症)
精神発達遅滞
小頭症
小脳失調
網膜色素変性症
感音性難聴
早発老化徴候(特徴的な顔貌)
脳内石灰化
日光過敏
脊椎後弯(亀背)
関節拘縮
視神経萎縮
う歯
大きく冷たい手足
性腺機能低下

 その後、Nanceらによる140例での解析(Am J Med Genet 1992;42:68-84)、Rapinらによる成人例の検討(J Child Neurol 2006;21:991-1006)などから、CSは発症年齢、重症度から、1型(古典型)、2型(重症型)、3型(遅発型)に分けられるようになり、色素性乾皮症−CS(XP-CS)も見つかった。
 一方、CSは相補性群試験によりCSAとCSBに分類され原因遺伝子CSAERCC8 )、CSBERCC6 )も見出されているが、それらと臨床症状との関連は不明である。
 Sugaramanの診断基準は、病型の違いが反映されておらず、器官別記載ではないなどの欠点もあるが、多彩な症状をコンパクトにまとめており汎用されてきた。

 本HPにおいて、CSの症状を器官別に(1)〜(10)に分類してみた。(*Sugarmanのmajor, minor criteriaを赤字青字で表示)

(1)多臓器の関与が推定される症状:るいそう(体重増加不良、皮下脂肪の減少)、特徴的顔貌(早発老化?)、血管病変
(2)中枢神経:精神運動発達の遅延小頭症・脳萎縮、白質病変(有髄線維脱落)、脳内石灰化小脳変性、錐体路徴候、不随意運動(3型で目立つ)
(3)末梢神経:末梢神経伝導速度の遅延、冷たい手足(血管運動神経異常?)
(4)視覚:白内障、網膜色素変性視神経萎縮
(5)聴覚:感音性難聴(聴性脳幹反応の異常)
(6)内分泌:視床下部障害(睡眠障害、体温調節異常)、成長障害性腺機能低下(下垂体ホルモン分泌は正常)
(7)外分泌:う歯(唾液分泌低下)、涙液分泌低下、発汗低下
(8)腎障害
(9)骨格:関節拘縮、脊柱変形
(10)皮膚:日光過敏症(軽度)

 各症状の発生頻度・重症度は病型により異なる。厚生労働科学研究により日本人CS患者での各症状の診断基準での重みづけが明らかになることが期待される。一般にCS患者の管理には、小児科、神経内科、皮膚科、眼科、耳鼻科、整形外科、リハビリ科、腎臓内科など多岐にわたる診療科が関係するので、先ずはCSを疑うことが肝要である。今回、(1)〜(10)中の2症状、あるいは複数症状を含む(1)(2)(6)(7)中の2〜3の個別症状がみられる場合、CSを想定することを提唱する。

東京都医学総合研究所 林雅晴

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